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 先週、温泉でもと思い、おとなりの栃木県まで行ってきた。

 ただ、温泉だけでは味気ないので、他のところも寄り道。自分ひとり、なおかつクルマなので、そのあたりの融通は効く。

 まず向かったのは大田原市にある雲巌寺。風情豊かな禅寺で、なかなかの古刹感である。

 境内には「観光を目的としたお寺ではないので、観光案内はしていません」という注意書きがあったり、ご朱印も事前に住職が書いたものを欲しい人が箱にお金を入れて持っていくというスタイルだったりと、サービスは簡素化されている。

 でも、本来、お寺はこういうものかなと思う。静かに、そこにあるもの、そこにいる自分を見つめる場所ではないだろうか。

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 次に向かったのは「那珂川町馬頭広重美術館」。絵師・歌川広重の数々のコレクションなどが展示されている美術館である。

 浮世絵などを見て思うのは、色の使い方が上手いということである。現代のような派手な色鮮やかさではないけれど、落ち着いたいい色具合である。

 美術館のとなりの郷土資料館やすぐ近くの静神社を見たあと、クルマに乗り込み、途中、道の駅を経由しながら日帰り温泉へ。

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那珂川町馬頭広重美術館


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静神社

 二ヶ所、はしご湯したが、無色透明でぬるぬるとした泉質の馬頭温泉は身体にやさしい感じがした。週末だというのに、それほど混んでいなかったのも私としては嬉しいポイントである。

 やっぱり、温泉はいいものである。

 その後、たまたま開催されていた「そば祭り」を覗いたり、途中の物産館にと寄り道をしながら、午後四時前に地元に戻ってくる。

 往復200キロほどの運転は疲れたが、良い気分転換になった一日であった。

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雲巌寺に咲いていたシャガ

 ハイキングのあとは令和初のご朱印をもらうために、近くにある板東二十六番札所・清滝寺へ。

 どこぞの神社では令和初のご朱印で十時間待ちというニュースもあったが、ここでの待ち人は0人。何のストレスなく、参拝することができた。

小町山9 


小町山10 

 ご朱印のあとは古道歩き。

 土浦市と石岡市を結ぶ朝日トンネルを抜け、トイレもある無料の辻パーキングにクルマを停める。そして観光いちご園を横目に見ながらとぼとぼ歩き、住宅地を抜けていく。その先の山道に入ると、稲荷神社や薬師堂などが点在する菖蒲沢薬師古道となる。

 何年か前に、地元の人たちによって、荒れていた道を整備し、古道ウォーキングコースとして再生された。

 山の中はゴールデンウィークの巷の喧騒が嘘のように人っ子一人いない。ただ、自分の存在が静かな古道の中で、際立っていた。

 まさに、孤独の時間である。

 ひとり歩いて、辿り着いた薬師堂で手を合わせ、一対の仁王像に挟まれているような形で中央に置いてある大学ノートに手を伸ばす。

 そこには、ここに来た人たちの名前、あるいは短いメッセージが記帳されていた。

 何だか、それは、ひとりきりでやってきた私にとって、ひとつの救済符のような感じがした。

 誰かの存在をそう遠くないところに確実に感じることができる。その事実は私に少しばかりの安心を与えてくれる。

 再び、山道を下り、私は生活の匂いのする場所へと戻ってくる。孤独な時間は好きなほうだが、私には山の中のぽつんと一軒家は無理かもしれないなと思った。

小町山11 


小町山13 

小町山12 


菖蒲沢薬師古道 


 その後、家の近くの公衆浴場で汗を流し、ラーメンとチョコバナナクレープのランチを食べた。

 そうして令和初の日帰り旅は終わったのだった。

 この前の連休、近くの里山にハイキングに出かけた。

 登ったのは、あの小野小町がこの地で亡くなったという伝説から名付けられたその名も「小町山」。

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小町山


小町山8 

小野小町の墓?

 トイレも完備されているコミュニティ施設「小町の館」の駐車場にクルマを置き、登山口に向かう。

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小町の館

 午前8時半に、登山口の「山の神」に安全を祈願してから、ハイキングをスタート。

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小町山3 

 標高361mほどの里山だが、久しく山登りをしていないので、登り始めると、ちょっとばかり息が苦しくなってくる。

 分岐で尾根コースを選び、山の奥へと入っていく。樹木の密度が濃くなり、直射日光を遮ってくれるのはありがたいが、その分、風通しは良くない。

 それでも、登っているうちに、ペースはつかんでくる。山登りの呼吸の感覚が苦しいながらも、どこか心地いい。

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こういうの好き

 登り始めて一時間ほどで、山頂に。山頂の眺望はあまり良くないが、少し歩くとパラグライダーの離陸場があり、そこは開けていて、眺めはなかなか良いものがあった。

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小町山6 


小町山5 

 下りは、かすみがうら市と土浦市を流れる「天の川」の源流でもある沢コースを選択する。

 沢の流れの音を聞きながらの歩きは、こころが落ち着くような感じがする。水の存在は本能的に安心できるのだろうか。

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 40分ほどで登山口に戻ってくる。休憩所で、田んぼを眺めながら一休みし、令和初の山登りは終わったのだった。


 山登りを終え、再び、レンタカーを走らせ、向かったのは上田市にある「無言館」。

 日中戦争や太平洋戦争に出征し、戦死した画学生の遺作や遺品を展示している美術館である。

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 芸術というのは、その人間の魂を映し出しているものではないかと私は思う。一つ一つの作品を見て回りながら、それぞれの魂を私は想像する。

 戦争によって失われた命。肉体という物質だけではなく、内部の魂までも奪ってしまう戦争は、ひどくむごいものだと私は思う。

 ただ、ここに遺されたものは家族や友人たちによって、長い間、大切に守られてきたのではないだろうか。

 亡き人を想い、その形見でもある作品を何十年という年月をかけて、大切に扱い、それを今日まで守り抜いている。

 日々、戦争の記憶が風化されていく現状で、きっと、それは大変な労力だったろう。そして、これからも故人の想いを変わらず、つなげていくことは、さらに大変なことだろう。

 今回の私の訪問がささやかでも、一助になることを願いたい。

 旅をしていると、世界は様々な人たちの想いにあふれているなと私は思う。

 普段は日常というフレームの中で気づかないことが、旅に出ると、感覚が鋭くなるのか、気づきが生まれる。その気づきが、誰かの想いをつなげていくことになるのではないだろうか。


 列車を乗り継ぎ、私は薄暗い地元の駅に降り立った。旅は終わり、また、明日から新しい生活が始まっていく。

 生きている限り、日々、想いは生まれていくだろう。はたして、私の想いはどこにつながっていくのだろうか。

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 2018信州ひとり旅・おわり。

 旅の二日目。

 ホテルでの朝食を終え、やってきたのはレンタカー会社。今日はまず、レンタカーで登山口へと向かう。

 カーナビに案内され、走ること一時間ほど。湯の丸高原の地蔵峠に到着した。ここから今回の山、烏帽子岳への登山道が始まる。

 烏帽子岳は標高2066m。登山口からは300mちょっとの登り。そして歩行距離は往復で8キロ強で、中高年の私の体力的にはちょうどいい感じである。

 私が歩き始めた午前9時の段階で、登山道を歩く人の姿はほぼ皆無だった。若干、冷たい山の空気感の中、私はひとり黙々と歩みを進めていく。

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気持ちのいい山道

 山の中に入れば入るほど、自分の責任は大きくなっていく。道に迷わないように、足を挫かないように、そしてできるだけ余分な体力を使わないように一歩一歩確実に。

 時折、誰かに追いついたり、逆に山を下ってくる人に出会ったり。少し遠くから聞こえてくるクマ鈴のやさしい音色がひとり登山者の私を励ましてくれる。

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一部、紅葉も

 後半の急登を終え、稜線に出ると、視界がぐっと広がった。はるか眼下に上田の町なのだろうか、人々の営みが広がっている。

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 今、この瞬間、山を登って良かったと思う。鏡で確認したわけではないが、たぶん、私はいい笑顔になっていることだろう。

 小烏帽子岳のピークを越え、烏帽子岳の頂上に到達。残念ながら、頂上はガスで視界不良だったが、ここまで来る間に、いい空気を吸い、いい景色も見られたので、良しとしよう。

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 その後、山をひたすら下り、ちょうどお昼に駐車場に戻ってきて、昼食をとり、誰もいない日帰り温泉で山登りの疲れを癒した。

 そうして三時間ほどの素敵な山旅は終わった。

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                  つづく