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 県道の側道でもある遍路道を三番札所・金泉寺へ向かって歩いていく。側道ということもあり、車の往来はほとんどない。おかげで自分のペースで、のんびりと歩ける。
 車に対する安全の確保とか、排気ガスとか、余計な気をつかわないで済むのがいい。しかし、一番良いのは恥ずかしさが軽減されることだろう。地元からは遠い土地なので、私を知っている人間はいないだろうが、白装束姿で歩いている自分は一般の人たちから見れば、どう思われるのか? 自意識過剰かもしれないが、その辺のところは、どうしても気になってしまう。
 しかし、初日から、そう楽には歩かせてくれない。途中から、雨が降り出してきた。私は人気のない建物の軒下に駆け込み、ザックの中から、青い雨合羽を引っ張り出す。そして私は小さく、ため息をついてから、雨合羽を着込んでいく。

 第三番札所・金泉寺に到着。それと同時に雨も上がる。ただ、雲行きは怪しいまま。今朝の天気予報も「くもり時々雨」になっていたので、また雨は降ると考えたほうがいいだろう。できるなら、歩いている間だけでも、雨は止んでほしいが。
 本堂の前で熱心に読経をしている若者がいた。二十歳前後だろうか。結構、読経は上手い。日頃から、お経に慣れ親しんでいるのか、あるいは遍路のために過酷なトレーニングを積んできたのか。いずれにせよ、何か、この年齢で歩き遍路をする理由があるのだろう。私は彼の邪魔にならないように、少し離れたところに立った。
 納経所で墨書と朱印をもらい、軽く休憩をしてから、四番札所・大日寺に向けて出発。ただ、不安がある。へんろみち保存協力会発行の遍路専用地図によれば、大日寺に向かう遍路道は車道を離れ、徒歩専用の細い道を歩くらしい。つまり、その細い道がわからず、道に迷う確率がこれまでより高くなるという不安。歩き遍路をするに当たっての私の一番の心配は、まさに、このことだった。
 はたして、初めての場所で道に迷うことなく、続けられるのか? 体力的なことでも、金銭的なことでもない。ひとりで歩く私にとっては、それが一番の心配だった。 

三番 

第三番札所・金泉寺・釈迦如来