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 視線の先に、先程の女性はとらえているが、なかなか差が縮まらない。私たちも遅いほうではないと思う。意外と女性は、かなりの健脚なのか、あるいは私たちに追いつかれないように意識してペースを上げているのか。
 しかし、信号待ちの間に、ついに私たちは女性に追いついた。女性が私たちを見て、照れたように微笑む。
 「香子さんも一緒に歩きませんか?」
 おそらく、オーさんに女性の名前を聞いたのだろう。テツが彼女を誘う。彼女は私たちをじっと見つめる。大丈夫。私たちは悪い人間ではありません。嫌なことも訊ねません。ただ、みんなで楽しく歩きたいと思っているだけです。

 香子さんを吸収合併した年齢多様歩き遍路集団は、とある小学校に入っていく。オーさんがトイレに行きたいと言い出し、地図を見たら近くに小学校があったので、トイレを借りようということになったのだ。
 しかし、小学校には誰の姿もなかった。よく考えてみれば、今日は土曜日。学校も週休二日なので今日は休みだった。それなら校庭の片隅にでも外トイレはないかと思い、探したみたが、それもダメだった。そういうトイレは夜中に変態野郎が、こっそり忍び込んで盗撮カメラを仕掛ける可能性があるので、設置しないのだろう。全く、嫌な時代になったものである。
 私たちは、あきらめて小学校の敷地から出て行く。しかし、オーさんは切羽詰っているようだった。きょろきょろと辺りを見回している。オーさんの場合、一度、脳が「トイレ」の指令を出してしまったら、なかなか撤回できないようだ。きっと、脳内トイレパニックになっているのかもしれない。