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 とりあえず、テレビをつける。

 仕事が終わり、帰宅してすぐ、私がすることである。どうしても見たい番組というわけでもない。ただ、これまでの習慣の惰性でテレビをつけているようなものだ。

 子どもの頃から、テレビは好きだった。アニメや特撮ヒーロー、バラエティー、ドラマなど、日中、大人たちが働いている時間のすき間を狙っては画面に釘付けになっていた。

 家に一台しかないテレビを巡っての「チャンネル争い」という言葉があったが、今ではもうほとんど死語に近いのではないか。

 テレビは一家に一台から一部屋に一台になり、テレビ以外にもネットやゲームなど、様々な選択肢も増えてきている。もはや、テレビが娯楽の王様と呼ばれた時代は終わっているのだろう。

 それでも私はテレビのない自分の生活を想像することができない。もう四十年以上、テレビと付き合っていて、完全に私の生活の一部になっている。

 おそらく、死ぬまで、私はテレビを見続けると思う。

 話は変わるが、最近、私の家の近くの貸家に引っ越してきた人がいる。夜になると、その人を訪ねてくる知り合いがいるらしく、時折、外で話をしている声が聞こえてくる。

 聞き耳を立てているわけではないので、話の内容までは知らない。ただ、私の家のまわりは夜になると、ひっそりしているので、彼らの話し声は嫌でも目立ってしまう。

 その彼らのぼそぼそとした立ち話の声に、どこか、ほっとしている自分がいる。彼らの声を聞いていると、自分の抱えている孤独のようなものが和らいでいくような気がするのだ。

 近くに誰かがいる。たとえ、直接、その人間とつながっていなくとも、その存在は自分にとって、意味があるのではないか。

 誰かの声が誰かの孤独を癒やしていく。今夜も誰かの声がテレビのむこうから聞こえてくる。