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 先日、友人たちと焼肉がメインの食べ放題のお店に行ってきた。

 土曜日の夜ということもあり、店内は大混雑。家族連れ、若者たちのグループ、外国の方々。それぞれ自分の胃袋との戦いを繰り広げていた。

 食べ放題。若かりし頃、私はその言葉に甘美な想いを抱いていた。

 好きなものを好きなだけ食べられる。求めても思い通りにならないことが多いこの世の中で、それは一つの理想形のように思えた。

 実際、何度となく、その理想郷を確かめるために、食べ放題を経験した。新しく食べ放題のお店がオープンしたと聞けば、偵察に赴いたり。旅行の際、バイキングプランのあるホテルを遠征実地検分したり。

 十代や二十代の頃、自分の胃袋も頼もしかった。自分の胃袋はブラックホールにつながっているのではないかと思えるくらい、次から次へと料理が胃の中に収まっていく。

 けれど、宇宙の神秘は、いつまでも続かない。

 三十代までは何とか、ごまかしが効くところもあったが、四十代に入ると、自分の戦闘力のレベルが格段に低下していることを実感した。

 今回の食べ放題も事前に抱いていた戦いの形に持っていけない。開始直後はまだ調子が良かったが、徐々に形勢が不利になってくる。肉が焼けていく状態を見ているだけで、お腹がいっぱいというか、気持ち悪ささえ感じてくる。

 もう、あの青年時代の大食い伝説は「遠き山に日は落ちて」という感じの落日状態である。

 そろそろ次世代に譲ったほうがいいのかもしれない。きっと量より質といった事業転換が必要な年代に入っているのだろう。

 九十分の戦いをやり過ごし、今後の出処進退を考えた夜だった。