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 思い描いていた自分の未来。はたして、そのような人生を送っている人たちは、どれだけいるのだろうか。

 私は子どもの頃、自分が大人になったイメージをうまく思い浮かべられなかった。

 何の仕事をして、どんな家庭を持ち、どのような自分の人生を送っているのか。

 それは子ども時代の延長ではなく、ある時期を境にきっぱりと分かれ、存在しているような感じがして、子どもの私にはうまく想像することができなかった。

 一年に一度、子どもの憧れの職業ランキングが発表されるが、幼い頃からきちんとした夢を持っている子どもたちには感心してしまう。

 子どもの頃の私には、なりたい職業なんて何もなかった。ただただ、極めて後ろ向きだけれど、このまま子どもでいたいと思っていた。

 たぶん、大人になることが怖かったのだろう。

 大人になれば、いろんな責任も付いて回るし、苦しいことやつらいこともある。それを乗り越えるだけの力が自分にあるとは思えなかったのだ。

 だから、今、自分が思い描いていた未来を生きているかと訊かれても、答えようがない。そもそも私は思い描いていなかったのだから。

 でも、一つだけ言えることがある。

 それは案外、大人になることも悪くはないということだ。

 子ども時代、若者時代と過ぎ去り、今や、正真正銘のおじさんになってしまった私。まわりと比べたら、足りない部分も多いけれど、同情されるほど不幸ではないと自分では思っている。

 奇跡なんてめったに起こせないけれど、頑張ればちっぽけな平穏くらいは手に入れられるのではないか。

 今を、このおじさんとなった自分を楽しもうと思っている。
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